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昭和14/1939
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作詞 秩父重剛
作曲 長津義司

思えば遥々来たものよ
上海戦のあれ以来
北よ南の三年越し
我が子の顔も見忘れる

壕は腰まで水浸し
敵弾止んでまどろめば
夢は故郷の娘から
初めて書いた仮名便り

襟に冷たい露落ちて
ふと目が覚めて見回せば
昨夜一夜を降り込めた
雨雲切れて暁の星
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作詞 時雨音羽
作曲 船越治夫

朝の峠を日の丸の
旗と幟に送られて
村の勇士は戦場へ
回る水車を振り返り
振り返り

母よ弟よ妹よ
水を絶やすな水車場の
兄の便りはただ一度
囲むランプの薄明かり
薄明かり

遠く轟く万歳の
凱歌の君を待ちながら
巡る水車の歌声は
昨日も今日も鳴り渡る
鳴り渡る
作詞 歩川理佐久
作曲 明本京静

富士に別れて感激の
涙で発ったつわものが
打ち振る旗や万歳に
応えて行ったあの笑顔
礼の言葉が言えなんだ

初の便りは上海の
服まで汗の夏の夜
敵前間近戦友と
弾雨を浴びて塹壕に
寝たる上陸第一歩

薫る橘我が部隊
南京抜けば漢口と
日の丸高く泣きながら
振ったと聞いたあの朝は
富士もにっこり笑ったぞ

ニュース映画に新聞に
ラジオに胸をときめかし
感謝に咽ぶ目の先に
達者な顔が勇ましく
越える山河よ幾山河

さぞや辛かろ泥の水
大陸青くお茶の木も
すくすく伸びるその日まで
銃後も皆白襷
君を偲んでやっとるぞ
作詞 宮本旅人
作曲 鈴木哲夫

黄塵渦巻く荒野路を
ひねもす続く強行軍
暫し木陰で休憩に
愛馬と分けて飲む
ああ一杯の水よ水

激戦数刻ますらおが
玉なす汗を流しつつ
谷の流れに口寄せて
両手でぐっと掬い飲む
ああ一杯の水よ水

弾丸に倒れし戦友を
しっかりせよと抱き起こし
口に水筒傾けて
今際の際に含ませる
ああ一杯の水よ水

水飲み干して目を開けて
にっこり笑うた戦友が
天皇陛下万歳と
一声遂に息絶えし
ああ一杯の水よ水
ああ一杯の水よ水
作詞 南條歌美
作曲 斉藤潔

今朝の別れに日の丸振った
軍港の蔭に来て見れば
軍艦は見えねど夕凪の
沖に鳴く鳴く磯千鳥

君は勇まし海軍士官
軍艦マーチに送られて
一度軍港出たからは
散るも匂うも波の上

波涛千里が生命線よ
どこの沖で散ろうとて
私ゃ士官の妻じゃもの
千鳥鳴いても泣きはせぬ
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